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るアイゼンシュタイン、同情するロザリンデ。二人は互いを慰め抱き合う。
そこへ、アイゼンシュタインの友人で、昼は公証人、夜は舞踏会の司会者という、社交界では名の売れたファルケ博士が訪れる。ファルケはロザリンデに挨拶し、アデーレがイーダからもらった手紙と同じ色の封筒をそっと手渡す。ロザリンデが二階へ去ると、今度はアイゼンシュタインに同じ封筒の招待状を見せ、オルロフスキーの夜会に誘う。ロシアの亡命貴族、オルロフスキー公爵は、夫に先立たれて以来、男の装で通し、夜ごと豪華な夜会を開く大金持ちという。しかし「今夜は刑務所へ行かなくては−」。ファルケが、バーデンでは大晦日に限り、元旦の日の出までに刑務所へ行けばいいこと、さらに、4年前の仮面舞踏会の一件で、自分に“こうもり博士”の渾名をつけたアイゼンシュタインに、公爵が会いたがっていると言えば、アイゼンシュタインはだんだん行く気になり、「今、何時かな?」とご自慢の“鈴の音時計”を取り出す。「これを擬餌鉤にして(ご婦人を)釣りあげるのさ」。ファルケには、オルロフスキー公爵邸へ何としてもアイゼンシュタインを連れて行き、自分に“こうもり”の渾名をつけた彼をみんなの前で笑い者にし“笑いの復讐”を遂げようという魂胆があるから、あらゆる手段を使って彼を誘惑すればアイゼンシュタインも次第にのり、『妻には内緒』と愉しい二重唱M?B「パーティヘ行こう」の歌で乾杯!大はしゃぎの二人を見て驚くロザリンデにファルケは挨拶し、帰っていく。アイゼンシュタインは、アデーレが運んできた豪華な夕食も断り、投げキッスをして二階へ−。夫の変わりようを怪しむロザリンデ。日頃の勘でピンときた彼女の頭にアルフレートのことが浮かび、アデーレに「特別に」暇を出す。大喜びのアデーレ。そこヘアイゼンシュタインが黒ずくめのフロック姿で出、三人、芝居っ気たっぷりに、悲しい悲しい別れの場。口と腹とは大違い、三者三様の“ウラハラ”三重唱M?C「何故この苦しみ」となる。アイゼンシュタインが飛ぶように出掛けた後、アデーレも春風のように去る。
一人残ったロザリンデが、ファルケから渡された封筒を開ければ、オルロフスキー公爵からの招待状!この間に忍び込んだアルフレートは強烈なアタックで、M?D第一幕;フィナーレA「酒の歌」となる。『忘れ去ればしあわせになる』と杯を合わせ、二人は抱き合う。
と、玄関のベルが鳴り、“監獄行きの行進曲”にのって刑務所長のフランクが、出頭命令を無視したアイゼンシュタインを連れにやって来る。かまわずまた歌い出すアルフレートをアイゼンシュタインと思い込んだフランクは、杯を受け、開き直ったロザリンデは小声で『主人になってよ』。ロザリンデのM?D−B「クープレ」で、夫の名を借りたアルフレートは大はしゃぎ。お別れのキッスの雨の後、ロザリンデ、フランク、アルフレートのM?D−C「三重唱」となり、アルフレートは連行される。崩折れるようにロッキングチェアに坐ったロザリンデは、招待状を出し、にっこり−
−幕−

 

第二幕

M?E事入部「コーラス」で幕が上がる。ここはバーデンの森近くにあるオルロフスキー公爵邸の大広間。着飾った男女の陽気な歌が終ると、金と暇と倦怠に身をもて余すオルロフスキー公爵が、そっくり同じ装の小姓ミーシャを伴い、背にファルケを従えて現れる。
今宵の趣向を尋ねる公爵に、こうもり博士ことファルケは、自らの作・演出、アイゼンシュタイン家総出演による抱腹絶倒の人間喜劇のしかけを、口上よろしく語る。芝居の見どころは「本人たちは自分が芝居をしていることを知らないで芝居をし、皆さまもそれに参加して頂くのが味噌」。題して「“こうもり”の笑いの復讐」。公爵は

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